夏の異常な猛暑の中、現場で作業する皆さんへ
記録的な猛暑禍での過酷な現場作業
全国的に記録的な暑さとなっている今年の夏。専門家達はこの暑さを異常気象と指摘している様です。暑さの原因として、偏西風の蛇行や海水温が北海道や東北地方を中心に高かった事。フィリピン付近の海水温が平年より高くなった事で日本の上空の張り出しが維持された事等が理由とされています。
この暑さの中、建設現場で毎日作業し、街づくりをしている方。我々が当たり前に使用している建物や道路、水や電気、ガス。生活において無くてはならない様な物を、建設会社さんと職人さんが一つ一つ作っています。特に昨今、建設業の人手不足に悩まされている中で、作業員さんが熱中症でダウンする事で貴重な戦力を失ってしまう可能性もあります。
このとんでもない猛暑の中、重労働を行う作業員さんがバテてしまいダウンしてしまう。致し方無い部分もあるかもしれません。なんせこの暑さですから。しかし、仕方ないで済ますのは酷すぎます。なので、現場作業の日常での暑さ対策、日々の体調管理、熱中症対策をする事で100%ではありませんが、かからなくても良い熱中症を防止する事は出来ます。
工事現場での熱中症の事例
- 炎天下での土工事中、大量に発汗した作業員がお昼前にぐったりし、手や足が腓返りになったため、クーラーの設置している休憩所で休憩していたが、体調が戻らず救急搬送された。その作業員は空調服は着用していなかった。
- 前夜に深酒していた作業員が炎天下の基礎工事中、午前中に吐き気を催し、体調不良を訴えた為、同僚の作業員が近くの病院へ車で連れて行き、点滴にて体調は回復したが、その日から約三日間は自宅療養となった
- 室内での内装工事中、作業に没頭し、休憩を多く取らず、昼過ぎに頭痛と痙攣が生じたため、一旦休憩を始めるが、体調は悪化し、救急搬送された。室内の湿度約70%の中で、水分塩分補給を怠ったのが原因。
- 炎天下中での高所での建方工事中、資材の搬入搬入に追われ、休憩時間をろくにとっておらず、午前中に1名が痙攣を起こす。病院にて処置を受け、命に別状はなかったが、その作業員は朝食を摂っていなかった。
- 気温35℃以上の猛暑日、3時の休憩を終えた作業員が体調不良を訴え、自分の運転で車にて帰宅中、意識が朦朧としてきて帰宅中の道路沿いで降車。歩道で座り込みぐったりしている所を、通りかかった歩行者が救急搬送してくれた。近くの病院で点滴処置により体調は回復。しかしその作業員がどこの病院に運ばれたか、プライバシー保護の為、どこに問い合わせても教えてくれなかった。
工事現場での熱中症対策
- 朝食を必ず摂る。朝食は熱中症予防という点でとても重要な食事です。1日の最初に食べる朝食で水分と塩分をしっかり補給しておく事で熱中症を予防できます。ご飯とお味噌汁の食事で役500mlの水分が取れます。オススメは梅干入りおにぎりとお味噌汁です。
- 作業時は最低1時間に1回の休憩(5分〜10分)をとる。工程上やむを得ない状況もあるかと思いますが、こまめに休憩をとって無理をせず、体力回復に努めてください。
- こまめに水分、塩分の補給(スポーツドリンク等)休憩時は勿論、作業時もペットボトル等を持ち歩き水分補給してください。がぶ飲みするより、少しの水分をこまめに摂る方が効果的です。ただし、水ばかり飲むのは禁物です。必ず塩分も補給してください。
- 充電式クーラボックスは外に持ち運び、作業場で水分補給できるためオススメです。(休憩所まで歩かなくて良い)
- 休憩時は現場休憩所のエアコン又は外部での扇風機、スポットクーラー等で風を浴びてください。
- 仕事おわりに1杯、ビールやお酒を飲むのは良いですが、次の日まで残る様な深酒は厳禁です!どんな元気な人でも二日酔いなどで体調不良時は熱中症になるリスクはかなり高まります。
- 空調服を着用して作業する。空調服は服の中に外気を取り込み、汗を蒸発させる事で大量の発汗を防ぎます。発汗を防ぐ事で塩分の減少の防止につながります。昨今の工事現場において、空調服は必須アイテムになっています。ぜひ着用してください。
空調服を着用しての作業(フード付きは後頭部を熱から守ります)
充電式クーラーボックスは作業場で水分補給ができます。
熱中症の症状
気温や湿度が高い工事現場での作業環境の中で、この様な症状が見られた時は熱中症が疑われます
- 立ちくらみ
- 筋肉のこむらがえり
- 体に力が入らない
- ぐったりする
- 呼びかけへの反応がおかしい
- 痙攣
- 真っ直ぐ歩けない
- 体が熱くなる
軽い症状でも立ちくらみ、呼吸や脈が早くなる、唇の痺れ、だるさ、めまい、頭痛、吐き気等の症状が出てきます。大量の汗をかいて体内の水分と塩分が不足すると足や腕、腹などに痛みを伴う痙攣が起きる事もあります。
熱中症の症状が出たら
作業員が熱中症の症状が出た場合は軽度でも迷わずに救急搬送してください。最初は軽度でも放置するとあっと言う間に重症化するケースもありますので注意してください。
NGリスト
- 熱中症の症状が出ているのに一人で休憩させて放置する。
- 少し様子を見て良くなるまで待つ。
- 現場から一人で帰宅させる
- 症状が出ている状況にもかかわらず無理に作業させる
まとめ
この猛暑禍での現場作業を行う中で、少ない作業員の中、次工程や他現場の工程に追われ、暑い暑いと言ってられない状況も中にはあるかもしれません。しかし体調を崩してしまっては元も子もありません。できる限り熱中症対策を施し、この暑さを無事に乗り切って秋を迎えてください。